2016年7月21日木曜日

平成28年7月度 ケアマネ会

 梅雨も明け、茹だる様な暑さの中、ケアマネ会が開催され34名の参加がありました。


本日は、介護保険福祉用具貸与対象である人命探知機「ヒトココ」を介護支援専門員の皆様にも知って頂こうと、

開発元のオーセンティックジャパン株式会社(福岡市)の久我代表

連動アプリの開発元である株式会社ヴィンテージ(北九州市)の郷田代表取締役・只友取締役



ヒトココを活用した見守り体制を推進している霧島市地域密着型サービス事業者連合会の黒岩会長

霧島市長寿・障害福祉課の住吉さん・下津曲さん

にもご参加頂き、「ヒトココを活用した認知症高齢者の行方不明防止について~支援者間のネットワークを考える~」をテーマに実施。



 
ポイントは、5つ。


①人命探知機ヒトココを知る(機器の性能実践)

 山岳救助でも使用されているヒトココは、遭難者が多数発生する山岳を抱える県では、入山時に推奨、入山届出書にID記載欄がある人命探知機です。これを用いて、認知症高齢者の行方不明防止・捜索に寄与出来ないかと久我代表。

 まずは、認知症のある方に普段使いして頂けるよう、抵抗ないデザイン・機能性を目指したそうで、子機の重さ100円玉4枚分、専用のお守り袋があり、充電は1~3ヶ月ももつ高性能。行方不明時には、親機を使うことで、100~200M程度を捜索できます。

 

②ヒトココを使用した他地区の行方不明防止・捜索の実践を知る

 ヒトココを導入している自治体は数多くあり、今回は福岡県大牟田市の取組が報告されました。予め、地域をエリア分けし、捜索には車輛を使います。車輛が通るルートもヒトココの電波が行き届くよう勘案し予め設定しておくことで、道に迷い不安な高齢者を早期に発見できる体制を整えているそうです。

霧島市でも昨日、大牟田市の取組を模倣し、国分中央・松木・広瀬・福島を対象地区に徘徊模擬を行いました。実際には、捜索時の指揮・連携機能を高める連動アプリ「たくと」も加えての実施。

この「たくと」は、行方不明者発生時に、行方不明発生地点周辺の協力員(事前にメアド登録している方)に通知が行き、添付のURLを開くと、協力員は捜索に参加できる状態か否かの意思表示を行うことができ、結果、指揮するものが協力者の人数を把握できます。

また、行方不明者の捜索に必要なIDの通知、捜索中にはヒトココの反応状況をリアルタイムで送信することで指揮所では、捜索された地域を把握でき、捜索の漏れを防止したり、エリアを限定していくことができます。

ブッツケ本番で行った昨日の捜索も2㎞以上離れた模擬徘徊者を15分で発見保護することが出来ました。



③霧島市の現状

 以上のような、機器・アプリがありますが、最大限の効果を発揮するには、対象となる方の日常にどのように関わるか、家族の想いや覚悟を共有し、支援者間の体制を整えていく必要があり、ケースによっては地域ケア会議を通して、ネットワーク化もされました。

 しかし、いまだ連携されにくい現状があることも事実。
 独居高齢者世帯・高齢者世帯が多い霧島市では、家族以外による見守り体制を整える必要があります。



④行方不明防止・捜索、介護支援専門員ができること

 ヒトココを使用することのメリット・デメリットについて、個人ワーク・グループワークしてもらいました。

 機器を使用することでの安心感、それに反して関わりが希薄になる可能性も・・・。
 見えない鎖にならないように、プライバシーも考えなくちゃ・・・。
 
 色々な意見が出てきました。

「何度も迷子になり、ヒトココで保護」という事実があったとしたら、受け手次第で、
「何度迷子になっても帰って来れるから安心だね。」とも、
「何回も迷子になっているんだから、家での生活は無理でしょ。」とも受け取ることができます。

 周囲で支える人の安心感も高めていくためには、私たちの専門性を持った関わりも大切になります。



⑤霧島市の将来

 簡単に言うと、ハード面は、昨日実施した模擬を具体的な形にしていきたい。

 大切なのは私たち含め関わる者が、倫理・ネットワーク・連携が揃った見守りが実施できる体制を作り上げていくというソフト面の充実にあると思います。適正利用の在り方、機器の機能を発揮するため必須となるネットワークの在り方、介護サービス事業者相互の連携、一つとして欠かすことができないものばかりです。

 でも、もっとも大切なのは徘徊に至らない本人との関わり方であったり、環境づくりといった、介護の本質を見直す私たちの姿勢だと思います。便利な機器ではありますが、多くの職種・事業者が協力し、支えあえる霧島市を目指し、穏やかな生活の実現を目指していきましょう。



さて、次回のあしたばです。

日時:平成28年8月17日(水)14~16時
場所:霧島市国分総合福祉センター3階 大会議室
内容:「難病法」について
講師:姶良・伊佐地域振興局 健康増進課 疾病対策係 小田房子氏

平成27年1月にスタートした「難病法」。同年7月から指定難病が306疾患に増え、それに伴う医療費助成等も複雑になりました。

全ての疾病をお話しいただくわけにはいかないので、聞きたい疾病のリクエストをお待ちしています。

(文・写真:包括 福田)